ヨーロッパ屈指の3クラブが獲得を狙っている。バルセロナ、アーセナル、PSG。対象は26歳のアルゼンチン代表で、現在アトレティコ・マドリードでプレーするフリアン・アルバレスだ。その去就は今、サッカー界で最も注目を集める話題になっている。
すべての前提として、5億ユーロの契約解除条項がある。6週間後にはW杯が迫っている。そして当の本人は、毎週のように同じ質問に答えなければならない。
北米で開幕の笛が鳴るまで、明確な答えは期待できないだろう。この騒動はまだ終わらない。
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シメオネ監督が口を開く
騒動が表面化したのは4月28日だった。チャンピオンズリーグ準決勝のアーセナル戦前日、ディエゴ・シメオネ監督はリヤド・エア・メトロポリターノで会見に臨み、普段はほとんど見せない対応を取った。関心を認めたのだ。
「フリアンが何を考えているのかは分からない。彼の頭の中までは入れないからね。ただ、アーセナル、パリ・サンジェルマン、バルセロナのようなビッグクラブが関心を持っているのは当然だ。彼は世界的な選手で、そういう選手は常に注目を集める」
3つのクラブ名。1人の監督。この瞬間、移籍話は単なる憶測ではなくなった。
背景にある数字は明快だ。アルバレスは2024年夏にマンチェスター・シティからアトレティコへ移籍した。移籍金は総額約8200万ポンドで、内訳は即金7500万ユーロと残りが出来高だった。契約は2030年まで。契約解除条項は5億ユーロに設定されており、誰も払わない額であることが、まさに狙いだ。

各クラブの実際の提示額
水面下で交わされている実際の交渉は、はるかに現実的だ。
先頭を走るのはアーセナルだ。ガナーズは約1億ユーロ(約8600万ポンド)を用意しているとされる。対するアトレティコは、交渉のテーブルに着く条件として最低1億2000万ユーロを求めている。差はあるが、埋められないものではない。しかもアーセナルには他にない強みがある。アンドレア・ベルタだ。アルバレスをマドリードに連れてきた張本人が、いまやアーセナルのスポーティングディレクターを務めている。こうした関係は、どんな資料よりも重みを持つ。
一方、バルセロナは選手の心をつかんでいる。アルバレスは以前からカンプ・ノウに憧れを抱いていたと伝えられ、ロベルト・レバンドフスキの退団が見込まれるなか、ハンジ・フリック監督は前線の後継者として彼を見ている。問題は資金だ。バルセロナがこの取引に出せる上限は約1億ユーロ。アトレティコが提示する出発点には2000万ユーロ足りない。その差を埋めるには、誰かを売却するか、選手を交換要員に組み込む必要があり、マルク・カサド、エリック・ガルシア、フェラン・トーレスの名前が交渉で挙がっている。
PSGはダークホースだ。資金面は問題にならず、これまでもそうだった。ムンド・デポルティーボによると、ルイス・エンリケ監督はアルバレスと直接話をしたという。パリの王者は昨季、決勝でインテルを5-0で下してチャンピオンズリーグを制したが、すべての軸となる本格的なセンターフォワードはまだいない。アルバレスなら、それを一気に解決できる。

3つの異なる未来
移籍先ごとに、まったく違う物語が描かれる。
バルセロナへ行けば、アルバレスはレバンドフスキの後を継ぎ、フリック監督の中心選手となり、名門の新たな顔としてカンプ・ノウのピッチに立つ。メッシ世代の後継者が、レオが伝説を築いたスタジアムでプレーする。そこには詩的なものがある。

アーセナルへ行けば、アルバレスはプレミアリーグが待ち望んだストライカーになる。アルテタ監督は理想の9番を手にし、ベルタは一度欧州を横断して連れてきた男を再び迎える。エミレーツは世界的スターを得て、チャンピオンズリーグ制覇への挑戦にも本物の牙が加わる。
PSGへ行けば、アルバレスは欧州王者に加わり、サッカー界で最も華やかな街で、ルイス・エンリケ監督自らが追いかけた存在としてプレーすることになる。資金は問題にならない。この移籍に問題などない。

関係者の発言
この騒動をめぐる声はいつになく大きく、重要な人物たちもそれを否定していない。
アルバレス自身も、4月28日の同じ会見で、ついに少し我慢が切れたようだった。
「毎週新しいことが出てくるから、言われていることをあまり重く受け止めないようにしている。そのことにエネルギーを使わないようにしているんだ。メディアで言われていることを重視しすぎないようにしている。しばしば嘘の雪だるまになっていくからね。出てくるものすべてを、いつも出ていって釈明したり否定したりし続けることはできない」
この「嘘の雪だるま」という言葉は、数時間のうちに欧州各紙の一面を飾った。
アトレティコのエンリケ・セレソ会長はさらに鋭かった。マルカ紙の記者からアルバレスが退団する可能性を問われると、セレソ会長らしい答えを返した。
「あなたは年末まで生きていると保証できますか。選手が長期契約を結んでいるなら、何が起こり得るのか教えてほしい。3語で言おう。フリアンには契約がある」
数週間後、アーセナルとの準決勝前日には、セレソ会長は外交的な物言いを完全にやめた。
「フリアンはアトレティコ・マドリードの選手だ。今日も、明日も、来シーズンも。またこの質問をされるのは不快になってきている」
アルバレスの代理人、フェルナンド・イダルゴ氏も火消しに追われている。選手の家族がバルセロナで住居を探していたと報じられたことに対し、イダルゴ氏はきっぱり否定した。「家族の誰もバルセロナには行っていない。最後に行ったのはアトレティコ戦のときで、翌日にはマドリードに戻った」
さらにゲーリー・リネカーが、自身のサッカー番組のポッドキャストで火に油を注いだ。「フリアン・アルバレスがアトレティコでの現状に完全には満足していないという情報を得ている」。バルセロナの期待にとっては、聞きたかった言葉だろう。

W杯がすべてを変える
6月11日にW杯が開幕する。その5日後、アルゼンチンはカンザスシティーでアルジェリアと初戦を戦う。体調が許せば、メッシも出場する。そしてその隣にはアルバレスがいる。
ここで話は移籍の枠を超えて大きくなる。
2022年のカタール大会で、アルバレスは準決勝のクロアチア戦で見事な2得点を挙げた。試合後、メッシは肩をすくめてこう語った。「全員が本当に良くやったけど、選ぶとしたらフリアン・アルバレスをマン・オブ・ザ・マッチにする」。それから3年半が過ぎた。当時22歳だったアルバレスは26歳になり、体力のピークにある。ドーハで掲げたトロフィーを守るアルゼンチンの中心選手の1人だ。
だからこそ、この騒動は待たなければならない。
セレソ会長は残留すると言う。シメオネ監督は3クラブが関心を持っていると認める。アルバレスは毎週否定し続けることはできないと語る。3人の声が示す結論は一つ、W杯前に決断を下す者はいないということだ。
彼はアトレティコのユニフォームを着て北米に向かう。大会後の7月か8月に、答えが出るだろう。
そして、この件の根底にはもっと深いものがある。アルゼンチンがW杯連覇を果たせば、アルバレスはメッシのラストダンスを支えた男、つまり10番の前に立つ9番として、1962年のブラジル以来破られていない記録を塗り替える瞬間の主役になる。
その後は? 4つの扉が開いている。
扉その1、バルセロナ。メッシ世代の後継者がカンプ・ノウに入る。レバンドフスキの後継者。フリックの主力武器。ブラウグラナをまとった象徴的な結末だ。
扉その2、アーセナル。プレミアリーグ。ロンドン北部。ベルタのプロジェクト。アルテタのストライカー。エミレーツは2度の移籍市場にわたって求め続けた男を手にする。
扉その3、PSG。チャンピオンズリーグ王者。エンリケ監督が自ら選んだ存在。足りない最後のピースを探すタイトル量産マシンだ。
扉その4、残留。セレソ会長の約束が現実になる。アトレティコはもう1シーズン彼を保持する。シメオネ監督は彼を軸にチームを築ける。
4つの扉。4つの未来。そして立ちはだかる1つのW杯。
北米で最後の笛が鳴るまで、どの扉も開かれない。
騒動は続く。




